この手で紡ぐ神の欠片



「…うんとね、アタシは待ってたつもりじゃないんですよ。強いて言わなくても偶然ですからね」

しばらく間を空けて、
私は苦笑いを浮かべたまま
彼に言う。

「アタシはストーカーしないから、誤解禁止、過剰表現厳禁」

言葉を捲し立てた私を、
詠人は黙ってジッと見た。

また、風が吹く。

何か、気に障った…?

ただでさえ
ケルべロスに気付かれたくなくて、
(いや、見えないはずだけど)
焦っているからって、
怒らせたなんて最悪。


視線を宙に泳がせて、
私は言葉を探した。

上手い言葉が、見当たらない。

そんな私を、しっかりと
目で捕らえて――

「――珠輝さ」

詠人がゆっくりと口を開いた。

「オレに何を隠そうとしてるの?」



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