この手で紡ぐ神の欠片
*
気が進まなかった。
以前押し入れから出てきた
アルバムを巡り
天使を食べた事件から、
押し入れをもう探りたくなかった。
だが、500円。
「あの作者の新刊を買うためだ…!」
私は部屋でブレザーを脱ぎ
ネクタイを解き
適当な部屋着に着替えた。
茶色い髪をポニーテールに結う。
視界の端っこ、束ねた髪が揺れた。
「見なきゃ良いの」
何故そんなに自分は
執着とも言える思いを
感じていたのだろうか。
勘でもあり、予感で、
それでいて運命なのかもしれない。