この手で紡ぐ神の欠片



「まさか」

心から落ちた言葉は
虚しく消えた。

高鳴る心臓。

「昔、の話だろう――」

ペラペラと私はページをめくった。

有り得ない、
馬鹿らしくそう呟いた。

だが、
お腹が大きくなっている
身ごもった――私だろう――若い母の姿と

その隣にいる男の姿は

恋人、もしくは夫婦。

そうとしか思えなかった。


写真の下にある日付を見るからに、
若い母の膨らんだ腹にいるのは

私だろう。



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