この手で紡ぐ神の欠片



―――…


思考が、止まった。

それから数秒後に、

私は呼吸を思い出した。


「な、なんだよこれ…」


その母子手帳には確かに
私の名前が書いてあった。

けれど、父親と、私の名字が―――…。

「たまきぃーコートあったぁ?」

一階から聞こえた
母親の弾むような声にハッとする。

それから、息を吸い

「まだ見付からないから探すねー!」

普段と変わらないように気を遣い私は言った。

「はーい!お風呂あったかいからねぇー」

その言葉に返事をした私の額には、

うっすらと

冷たい汗の玉があった。



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