この手で紡ぐ神の欠片
次の朝、学校に着くと
私は屋上に向かった。
寒く風が吹く屋上には誰もいない。
「カラス――…おいっ、フーギンっ!!」
私に“力”をくれた
黒い鳥を私は呼んだ。
しばらくすると、
耳慣れた翼を動かす音が近付いてきた。
「ったく、何サ」
淡い水色の空に浮かぶ
2羽の黒い鳥。
私の目の前、
屋上の金網のフェンスの上
カラスが、2羽。
「…2羽?つがい?」
額にしわを寄せて私は言った。
「違うサ!」
片方のカラスが言った。
耳慣れた、声と口調だった。
「こっちがフーギンか」
自分のカラスの名を言う。
「じゃあこっちは?」
そう言い、
もう一羽に目を向けた。