この手で紡ぐ神の欠片
「私はムーニンだよ」
くちばしを動かして、
もう一羽のカラスが言った。
フーギンよりも、
少し高い女性に近い声だった。
「ムー、ニン…?」
聞き覚えがあったので、
私は首を傾げた。
そして、思い出す。
「――あぁ、詠人のカラスね」
私が言うと、そのカラスは
「そうだよ、詠人に“力”をあげたよ」
そう答えた。
ふぅん、と頷いた私に
フーギンが言う。
「なんで呼んだサ?」
その言葉に、
ハッ、と私は思い出す。