この手で紡ぐ神の欠片
詠人は私の隣まで歩み寄り、
ムーニンに手を伸ばした。
そのカラスは素直に従い
詠人の手に場所を移った。
「来ていたんだね、ムーニン。その黒い翼はとても綺麗だよ」
…こいつはカラスまで口説くのか。
私はなんだか気が抜けて
両手で掴んでいたフーギンを手放す。
というか、地面に叩き付けた。
「ぐぇ」
「動物虐待反対。…珠輝、ご乱心?荒れてても可愛いけど」
私はその詠人の質問を無視して
言葉を投げる。
「日曜日、暇?暇だったら押し掛けて良い?」
「…え」
詠人は一度首を傾げて、
それから私に答える。