この手で紡ぐ神の欠片
「暇だよ、うん夜もね。あ、けど父親が――」
「良い」
彼の言葉を、強く遮る。
「むしろ居た方が良いかもしれない」
そう言った私の表情が、
強張っていて
詠人が、どうした、と覗き込んできた。
「…なんでもない。じゃあ、日曜日に」
少し素っ気無く私は言った。
こんな失礼な態度に、
我ながら溜め息が出そうだった。
「ねぇ珠輝」
詠人が手にとめていたムーニンを放した。
そのままそのカラスは、
冷たい風が吹く冬の空へ消えていった。
「泣きそうなのに、強がらないでよ」
その優しい声に、
くしゃりと私は顔を歪めた。