この手で紡ぐ神の欠片
私は赤い十字架が隠れるよう、
ネクタイもきちんと締めた。
雪が、ふわふわと舞い落ちて消える。
「――珠輝」
詠人は先程の服装にプラスで
制服のダークブルーのブレザーを羽織っていた。
「えっ!?」
そして片手で、
私のマフラーを持っていた。
「…詠人…?」
「寒いと思って!」
私の目の前にきた詠人は、
はい、と言って
私にマフラーを巻いた。
確かに温かい。
詠人が優しく笑っていた。
「……さっきのロマンスどこいった…?」
私は本当に小さな声で呟いた。
「ん?」
詠人が私の顔を覗き込んだ。
「…なんでもないよ――」
私は目を細めた。
「雪、今年初だね」
詠人は空を見上げて、
髪をかき上げながらそう言った。