この手で紡ぐ神の欠片
「そうだね、可愛い天使ちゃんに言われるなら、悪くないよ」
歯の浮くようなセリフだ。
詠人は軽い笑みを浮かべていて
天使はクスクスと笑い
純白な翼を動かした。
私は茶色の髪をかきあげた。
「あなたたちへの天使からの祝福よ、この雪は」
綺麗な笑みと、
雪よりも白い羽と、
舞う雪を残して彼女は消えた。
「――何に対しての祝福だよ…」
私は雪に聞いた。
「…さぁ、ね」
詠人は微笑んで、
カチッと眼鏡を掛け直した。
私は一度目を閉じた。
そして目を開いた。
体が少し温かくなっていた。
私はマフラーをほどいた。
寒くないか、と詠人が聞いた。
寒くないよ、と私は頷いた。