この手で紡ぐ神の欠片
穏やかな、気持ちだった。
雪のせいかもしれない。
詠人と手を繋いでいるからかもしれない。
「残念だなぁ、珠輝姉ちゃん」
詠人がくっくと笑いながら
絡めた手に力を込めた。
「僕たちは結ばれないんだね」
「一緒に逃げよう、とか言ってくれないの?弟よ」
自分で言っていて、
少し悲しくなった。
「現実的に言うけど、無理。問題が多すぎるからね」
ロマンのない言葉だったが、
それが真実だ。
逃避行、駆け落ち?
私と詠人は未成年だし
身分も保証できない。
もしも病気になったら?
2人きりの世界なんて、
どこにもない。