この手で紡ぐ神の欠片



「けどさ詠人、雨って呼び出せんの?変じゃない?」

私がそう言うと、
詠人はクスクスと耳元で笑った。

「じゃあもう、全部全部呼び出す」

なにそれ、と
私も笑ってしまった。


静かになると、
詠人が、ふー、と息を吐いた。
その息が少し耳をくすぐった。



私は炎に包まれていて、
立てることも不思議なことだった。



詠人が私の額にキスを落とす。


そして、至近距離、
詠人の唇が動いた。


「〈永遠を築く、我が言葉よ、世界を包む神話を紡げ〉」

詠人の〈神唄〉が耳に届いた。

「願わくば、僕らを洗い流してくれ――」

詠人が目を閉じた。




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