この手で紡ぐ神の欠片



体を重く感じて、ガクン、と膝から私の体が下におちた。

開いた本が腕からおちて音をたてた。

そして、

聞こえる。

ぐるるるる、

獣の唸り声。

本を手にとり立ち上がり顔をあげる。


「――わぁお…」


巨大な、狼の体躯。

「太陽をも食らう終末を告げる大狼、」

カラスが私の傍ら、言う。

「フェンリル」


ドォン、と。
巨大な狼が、私の目の前に伏せた。



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