この手で紡ぐ神の欠片
筋金入りの犬好きなのだ、私は。
「ふわふぁ~…癒しぃ~…」
少しチクチクとしているが滑らかさもある毛。
狼の巨大な尻尾が振られた。
「よしよし、かわえぇなぁ~…」
私は撫でながら甘ったるい声を出した。
「…キモいサ」
それを見ていたカラスが私の後ろで呟く。
私は撫でる手をピタリと止めてカラスを睨み付けた。
「…フェンリル」
私は名前を呼んだ。
この狼は、主人には忠実なのだろうか。
その大きな耳が私の声を捕えピクリと動いた。
そうか、忠実なのだろう。
なら言うことを聞いてくれる。
「カラスを、少しもてあそんであげて」
私はカラスを指差した。