この手で紡ぐ神の欠片
とっさに反応したのは、
フェンリルではなく
カラスだった。
「ごめんサ!ごめんサ!すみませんサ!」
いっきに謝罪を捲し立てバサバサと黒い翼をはばたかせた。
ぐるるるる、とフェンリルが立ち上がると巨大な黒い体躯のせいで、太陽が見えなくなり私の視界には影がさした。
「食べなさいでサ!すみませんサ!勘弁するサ!」
哀れっぽい声をして翔んで逃げ回るカラスをフェンリルが楽しそうに追った。
…楽しそうに、カラスを追い掛けている。