この手で紡ぐ神の欠片
微笑ましい光景に口元が緩んだ。
私の茶色い髪がフェンリルが切った風になびく。
冬なのに、心が温かかった。
「…寒気がするサ!やめろサ!」
カラスの悲鳴も私にとってはBGMとして耳に届いた。
「よしよし、フェンリルぅ、もう良いよぉ~」
私は笑顔でそう言った。
フェンリルはカラスを追うのをやめて私に顔を近付けた。
大きくてつぶらな黒い瞳に、私が写る。
「よしよぉぉし」
そう言いながら鼻面を撫でた。
これが初めて、“力”を呼び出した日だった。