この手で紡ぐ神の欠片
私はフェンリルを撫でた。
毛の手触りを、確かめる。
確かに、温かくて
本から出てきたとは思えなかった。
「本から、じゃないサ」
本から通じる別世界サ、と
ハッキリとカラスが言った。
「そう」
私は簡単に返事をした。
「ちなみに、喋るサ。…フェンリルも」
「フェンちゃん喋るのぉ~…ってぇえ!?」
甘ったるい声で
フェンリルに呼び掛けた後
カラスの言葉の意味を理解すると
太い声で私は言った。