この手で紡ぐ神の欠片



一冊の、
白い表紙をした
分厚い重たそうな本が
そこに落ちていた。

私は片手でフェンスを掴み
バランスをとってしゃがみ
本を拾った。

狭い足場で、私は少しよろめき、
体勢を整えた。

手で持つと
その本の重みがわかり
近くでよく見ると
その本の歴史が伝わった。

異国の言葉で
何かが表紙に書かれている。

「北欧の神話の本サ」

カラスは私が手で持った白い本の上に足をのせた。

カラス分の重さが加わる。

「君は見えないものが見えていたサ。人間としては惜しいサ」

カラスは本を
黒いくちばしで一回つついた。

「神話を紡ぐのサ」



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