この手で紡ぐ神の欠片



  *

「…これも、アルバム…?」

呟いた私の指先は
それに触れていた。

《memory》と書かれていて
桃色の厚い表紙が
少し汚れていた。

「………」

私はそれを手にとった。

私の耳元で、
ザワザワと囁きあう雑音(声)が
一層強くなったように感じられた。


見てはいけない気がした。


けれど見なければと
自分の中で何かが言った気がした。


けれど―――…


「無理」


私は見るのをやめて
押し入れに戻そうとした。

嫌なものからは
目を逸らせば良い。

なのにそれは、


「駄目よ」


澄んだ声に阻まれた。



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