この手で紡ぐ神の欠片



「見なくては、駄目」

いつの間にか現れていた天使は
私の背後で首を振った。

「見たくないの」

私は振り向いた。

「駄目。運命ってやつだから仕方ない感じなの」

「けど私には“力”がある。逃げられるかもよ」

私は口元を歪ませた。

「人間は、人間じゃん」

天使が言って、
金の髪の毛をかきあげた。

「私は変わり者でしょう」

例え人間だとしても、と
私は付け加えた。

「けどさ――…」

天使は俯いた。

私の中で、今だ、と強く何かが言った。


―――今、運命を断ち切れ。



< 71 / 268 >

この作品をシェア

pagetop