この手で紡ぐ神の欠片
「見なくては、駄目」
いつの間にか現れていた天使は
私の背後で首を振った。
「見たくないの」
私は振り向いた。
「駄目。運命ってやつだから仕方ない感じなの」
「けど私には“力”がある。逃げられるかもよ」
私は口元を歪ませた。
「人間は、人間じゃん」
天使が言って、
金の髪の毛をかきあげた。
「私は変わり者でしょう」
例え人間だとしても、と
私は付け加えた。
「けどさ――…」
天使は俯いた。
私の中で、今だ、と強く何かが言った。
―――今、運命を断ち切れ。