この手で紡ぐ神の欠片
とっさに〈神唄〉を口にした。
「〈神を壊し、私が神となろう北欧神話を織り、神話を紡ごう〉!!」
強く私は言って
頭の中でフェンリルをイメージした。
「フェンリル。――食らえ」
自分の声なのに、
恐ろしく冷たい気がした。
『了承した』
耳元で低い声がした。
聞こえたと思うと、
目の前には
蒼白い顔で私を睨む天使がいた。
天使の口が、何かを言い掛けたが――…
天地を食らう狼に
飲み込まれてしまった。