この手で紡ぐ神の欠片
「………」
私は棒立ちになった。
『マスター』
心配そうにフェンリルが言った。
胸元に、チクリと痛みが刺した。
ブラウスのボタンを
2つ外して見ると、
私の胸元に赤い十字架が一つ、
刻まれていた。
『それは、証』
フェンリルが言う。
『神の“力”を手に入れた証』
「―――そう」
私は残りを乱暴に
押し入れに収納した。
不思議なことに、
様々な音がしたはずなのに
両親は気付いていなかった。
私はフェンリルを本に戻した。
自室に戻ると、
窓辺にカラスがいた。