この手で紡ぐ神の欠片
何故かこのときになって、
本当にカラスが不吉な鳥だと感じた。
「神話を使ったサ」
カラスが言った。
私は開けた窓に
上半身を乗り出した。
「うん」
「キミが運命から逃れようとも運命は追い掛けてくるサ」
「馬鹿らしいね」
運命なんかに、
私は捕われやしない。
「キミは、また、知るサ」
私は沈黙をした。
あのアルバムには
本当に何かあるのだろう。
分かりやすいな。
「そうそう、カラス。…質問」
私は小さく右手を挙げた。
カラスの返事も聞かず、
私はそれを口にする。