この手で紡ぐ神の欠片
「試してみる?王子様」
まだ寝起きで
覚醒しない頭のせいか、
私はそう言った。
…いや、誘った。
私は自分の唇に触れ
妖艶さを醸し出すように
微笑を浮かべた。
詠人はしばらく
きょとんとして、
それから
不敵な笑みを浮かべると
「悪くは、ないかもね」
そう言った。
「珠輝」
名前を、呼ばれて
私は彼に唇を塞がれた。
キスというには強く、
何か抑えきれないものを
吐息と共に吐き出して、
重ねた唇で分けあうようだった。