Anniversary
「なんで部長がC組の“応援団長”やるからって、俺が副団長やんなきゃなんない道理があるんですっ……!?」
その早乙女が、額に青スジ浮かべて口許をヒクヒクさせながら、“ボク精一杯怒りを我慢してるんです!”って声で、それを言う。
――まあ、そういうことだ。
ヤツの言う通り、否が応も無く“応援団長”にされてしまった腹いせ…ではモチロン無いが、団長の権限で、「どーせ絡まなきゃならないなら、1・2年の副団長は、俺がやりやすいヤツを指名させろ」と、そんで同じ部活のよしみ、っつーコトで、1年の副団長に早乙女を指名してゴリ押ししてやったのだ。
そもそも、ウチの高校の〈体育祭〉という行事は、各学年ABCDEの計5組で競い合うチーム対抗戦である。
ゆえにチーム分けは、クラス単位で縦割り。
つまり、3年C組である俺のクラスは、“C組連合”として、1年C組、2年C組と共にチームを組む、といったようなワケだ。
よって、俺が指名した2年生の副団長は……モチロン、言わずもがな。
「三樹本(みきもと)先輩も! 黙ってないで、何とか言ってやったらどうなんですかっっ!?」
案の定、ここでトットとブチ切れた早乙女が、俺にこれ以上何を言ってもラチがあかないと思ったか、今度は小泉の隣に座っていた三樹本に向かって怒鳴り散らした。
三樹本(みきもと)慎之介(しんのすけ)、2年C組在籍。
つまり、俺が2年の副団長に指名した張本人。
コイツも、俺にとってやっぱりカワイイ後輩である。
…プラス、天文部次期部長となることも既に確定している、正真正銘、俺の後釜クン。