Anniversary




「――…それが今、こうやって一緒にいるんだよねー先輩と私……」

 なァんか運命って不思議ー…と軽くタメ息を吐いた私の隣で、「何も『不思議ー』なことなんて無いやんか」と、みっきー先輩が笑う。

「すべては桃花チャンの執念のタマモノやで?」

「――『執念』、言うな!!」

 確かに…確かにねっ、しつこかったとは思う。それは自覚してるわよ!! そうよ、半分ホトンド『執念』だったわよッ!!

 だって、みっきー先輩ってば、あの日ああやってニッコリ笑って『付き合おかー?』とか言ってくれたくせにっ…! ――まるっきり私のこと、“カノジョ”扱い、してくれなかったんだもん!!

『桃花チャンみたいに可愛い後輩がいて、オレは幸せやなー』とか何とか言っては私のこと必要以上に子供扱いしやがってくれた中学時代のみっきー先輩は、卒業しても全ッッ然! それに変わりが無くて。

 まるで、そのニコニコした人当たりの良いステキな笑顔で無言のうちに「“カノジョ”にして欲しいのやったら、オレのこと本気にさせてみー?」とか言われてるよーな気分になる。

――そんなのっ…、『執念』だって燃やしたくもなるってモンでしょうっ……!?

 だから燃やしたわよ! 先輩たちの卒業式の日からこっち、絶対に振り向かせてやるって決めて『執念』燃やして、先輩の好みの可愛いオンナノコになろうと必要以上に頑張ってきたつもり。

 学校が別…しかも、コッチは中学アチラは高校、っていうハンデがあったって、何かというと出来る限り先輩にくっついてまとわりついては、一緒に居たくって頑張って追っかけ回してたし。

 私にとっては明らかにムチャなレベルだった先輩の高校にだって、頑張って勉強して、何とかどうにか、合格だって出来たし。

 ――でも……、


「もう、先輩…! 今日は私の“お祝い”に来てくれたの? それとも、ただ単に私のことバカにしに来たの?」


 そんな私の“初恋”と“一世一代の告白”がマヌケなくらいアッサリとカタチだけは実を結んだ、あの日から……今日でちょうど丸1年。

 今日は、――“私の”〈卒業式〉の日。

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