Anniversary
*
「ねー先輩、まだ怒ってる……?」
「…………」
「だから、ホントにゴメンナサイってばー……!」
「…………」
先輩の背中に向かって何度そんなセリフを繰り返してみても……相変わらず先輩は何も言わず、黙々と自転車を漕いでいるだけ。
(そりゃあ、早とちりしてケリ入れちゃったのは、私が悪かったんだけどぉー……!!)
『――いっ…イキナリ何てことするんやーッ……!?』
私に蹴り飛ばされた向こう脛を抱え込みつつ、痛さにカオをしかめながら身体を2つ折りにして呻く先輩に向かって。
『どーっせ私は脚が太いわよ! 悪かったわね! そんなこと、わざわざ言ってくれなくてもいいじゃないッ!!』
脹れっツラで“いーっだ!”とやってみせる私。
するとそこで先輩は、その姿勢のまま私を見上げ、“はあ!?”とでも言いたげな視線を向けて下さったのだ。
『桃花の「脚が太い」だなんてこと……オレそんなん、ヒトコトも言うてへんやんか!?
ただ「スカート短い」って言っただけ……』
『同じことじゃないッ!! なんでヒトの制服姿見た第一声がソレなのよ!?』
『そんなん単に、そこまで短いスカートじゃ自転車なんて乗せられんなー…って、それ思っただけやんか』
『―――はい……?』
その言葉にハタ…と我に返ったように硬直してみると……目の前には脚を抱え込んでいる先輩。
その背後に在るのは……自転車?
先輩の姿しか目に入っていなかったから、全っ然、気付いてなかったけど。
そういえば、先輩が毎日、地元から軽く電車3駅分の距離はあるココまで自転車で通学していることは、私も知っているけれど。
(ひょっとして……?)
『自転車……乗せてくれるつもりだったの? 私のこと……』
恐る恐る尋ねてみる私に向かい、少々ブスッとした表情になって答えてくれた、先輩。
『「入学祝いに、いいトコ連れてってやる」って……昨日、電話で言わへんかったっけ、オレ?』
「ねー先輩、まだ怒ってる……?」
「…………」
「だから、ホントにゴメンナサイってばー……!」
「…………」
先輩の背中に向かって何度そんなセリフを繰り返してみても……相変わらず先輩は何も言わず、黙々と自転車を漕いでいるだけ。
(そりゃあ、早とちりしてケリ入れちゃったのは、私が悪かったんだけどぉー……!!)
『――いっ…イキナリ何てことするんやーッ……!?』
私に蹴り飛ばされた向こう脛を抱え込みつつ、痛さにカオをしかめながら身体を2つ折りにして呻く先輩に向かって。
『どーっせ私は脚が太いわよ! 悪かったわね! そんなこと、わざわざ言ってくれなくてもいいじゃないッ!!』
脹れっツラで“いーっだ!”とやってみせる私。
するとそこで先輩は、その姿勢のまま私を見上げ、“はあ!?”とでも言いたげな視線を向けて下さったのだ。
『桃花の「脚が太い」だなんてこと……オレそんなん、ヒトコトも言うてへんやんか!?
ただ「スカート短い」って言っただけ……』
『同じことじゃないッ!! なんでヒトの制服姿見た第一声がソレなのよ!?』
『そんなん単に、そこまで短いスカートじゃ自転車なんて乗せられんなー…って、それ思っただけやんか』
『―――はい……?』
その言葉にハタ…と我に返ったように硬直してみると……目の前には脚を抱え込んでいる先輩。
その背後に在るのは……自転車?
先輩の姿しか目に入っていなかったから、全っ然、気付いてなかったけど。
そういえば、先輩が毎日、地元から軽く電車3駅分の距離はあるココまで自転車で通学していることは、私も知っているけれど。
(ひょっとして……?)
『自転車……乗せてくれるつもりだったの? 私のこと……』
恐る恐る尋ねてみる私に向かい、少々ブスッとした表情になって答えてくれた、先輩。
『「入学祝いに、いいトコ連れてってやる」って……昨日、電話で言わへんかったっけ、オレ?』