Anniversary
言った途端、その場に居た6人が一斉に揃って「ちょっと待て…!!」と声を上げる。
――由良の無類の駄菓子好きは、兄である俺にだけでなく、近くにいる人間にまでも、既に周知の事実なのである。
よって、今ごろ予算など全く考えずに「うわーい新作ー!」とか騒ぎながら、目に付いたものを手当たり次第にゴッソリ買い込んでいると思われる。
しかも人数はキッチリ考えているだろうから、それはそれは膨大な量になっていることだろう。
あの由良のストッパーになれる人間、なんて……一緒に行った1年連中では、まず力不足。
仮に全額を6人で割ったとしても。
――ヘーキで昼飯代くらいの金額は、軽く飛んでくな。きっと。
これでこそ、貰ったばかりの“臨時賞与”を使い込むことも無く、ぷちゴーカに打ち上げを楽しめるってーモンだ。
「とりあえず1人¥1000でいいか? …おら、サッサと出しやがれ!」
そうやってサクサク金を徴収してゆく俺の姿を眺めやりつつ、「先輩それカツアゲだし…」と呟かれた梨田サンの言葉については……、
――あえて聞かなかったことにしておこう。