Anniversary
ワザトらしく大ゲサに呆れたようなタメ息を深々と吐いてみせた私を見下ろしながら、「まあまあ、そう拗ねなさんな」と、そんな私のアタマに手を載せ、撫でるようにポンポンッと軽く叩いてみせた先輩。――拗ねてないもん…。
「もちろん、ほかならぬ桃花チャンのためや、“卒業オメデトウ”のお祝いに来たに、決まってるやんかー」
「――ニッコリ笑っていけしゃーしゃーとウソ吐くからなあ先輩は……」
「おや? 今日はオヒメサマ、ご機嫌ナナメやな?」
「べっつにー? そんなことないもんっ! からかったりしないで、ちゃーんと先輩がマジメに私のことお祝いしてくれたら、桃花はいつも“ご機嫌”だよーっだ!」
やっぱり相変わらずの子供扱いに、脹れてみせた私は思わず唇を尖らせて、「ふーんだッ!」と先輩から顔を背けてみせる。
すると、膨らませた頬の向こう側で聞こえる、先輩の押し殺したような忍び笑い。
――だから、笑うなよソコでー!!
ますます脹れてしまった私を……だがそこで突然、先輩が肩ごと抱くようにして腕を回した。
そして囁く。――私の耳の後ろから。
「残念……せっかく今日は、桃花に“告白”しようと思って来たのに……」
「えっ……!?」
思わず、脹れていたことも忘れ、反射的に振り返ってしまった。
(いま、『告白』って言った……?)
じゃあ、私のことをどう思ってくれているのか……それを告げてくれるっていうの……?
見開いたまんまるまなこの私の瞳に映るのは、優しくにこやかな先輩の笑み。
「せっかくの〈卒業式〉、だもんな。去年、桃花がオレに言ってくれたように……オレも言わなアカン、って思ってな」
「――先輩……!!」
私の表情が……見えなくても解る。きっと期待で満ち満ちてキラキラ輝いているハズ。
「これだけは、言っておきたかったんや。――桃花、“お願い”があんねん」
「ハイ……!!」
そして私は、彼が口を開くのを…そこから降ってくる言葉を、どきどきウズウズしながら、じっと、待つ……―――。
「桃花チャンの“第2ボタン”…、オレに、ちょーだいッ?」
「――――……あッ…、あってたまるか、そんなモノぉおおお―――ッッ!!」
「もちろん、ほかならぬ桃花チャンのためや、“卒業オメデトウ”のお祝いに来たに、決まってるやんかー」
「――ニッコリ笑っていけしゃーしゃーとウソ吐くからなあ先輩は……」
「おや? 今日はオヒメサマ、ご機嫌ナナメやな?」
「べっつにー? そんなことないもんっ! からかったりしないで、ちゃーんと先輩がマジメに私のことお祝いしてくれたら、桃花はいつも“ご機嫌”だよーっだ!」
やっぱり相変わらずの子供扱いに、脹れてみせた私は思わず唇を尖らせて、「ふーんだッ!」と先輩から顔を背けてみせる。
すると、膨らませた頬の向こう側で聞こえる、先輩の押し殺したような忍び笑い。
――だから、笑うなよソコでー!!
ますます脹れてしまった私を……だがそこで突然、先輩が肩ごと抱くようにして腕を回した。
そして囁く。――私の耳の後ろから。
「残念……せっかく今日は、桃花に“告白”しようと思って来たのに……」
「えっ……!?」
思わず、脹れていたことも忘れ、反射的に振り返ってしまった。
(いま、『告白』って言った……?)
じゃあ、私のことをどう思ってくれているのか……それを告げてくれるっていうの……?
見開いたまんまるまなこの私の瞳に映るのは、優しくにこやかな先輩の笑み。
「せっかくの〈卒業式〉、だもんな。去年、桃花がオレに言ってくれたように……オレも言わなアカン、って思ってな」
「――先輩……!!」
私の表情が……見えなくても解る。きっと期待で満ち満ちてキラキラ輝いているハズ。
「これだけは、言っておきたかったんや。――桃花、“お願い”があんねん」
「ハイ……!!」
そして私は、彼が口を開くのを…そこから降ってくる言葉を、どきどきウズウズしながら、じっと、待つ……―――。
「桃花チャンの“第2ボタン”…、オレに、ちょーだいッ?」
「――――……あッ…、あってたまるか、そんなモノぉおおお―――ッッ!!」