Anniversary
 ――確かに、観測会を通じて新入部員が増えるかもしれない…という点については否定しないけど。

(でも、入ったその日に学校に泊り込みしたいと思うよーな奇特な人間なんて……ドコ探したって、居るもんかいっ……!!)

 おまけに、何が哀しゅーてGWの真っ只中に用も無いのにワザワザ観測会に参加するためだけに好き好んで学校に来ようと思うかなあ、そもそも……絶対、その観測会だって、一般参加者なんて限りなくゼロに近いに違いない。

「ありえないよ、それ限りなく絶対……」

 浮いてきた血管でヒクヒクしかけているコメカミを軽く指で押さえつつ……そうボヤきながら、部室の前に到着した私たちは、そこで何気なく、ドアを開けた。


 ―――実際に《天文部》に籍を置いてみて、解ったことがある。

 それは、“別称・《オタク部》”である《天文部》、イコール、実は“明るいオタク君たちの集い”、だったってコト。

 そこまでネクラなオタク集団では無かったとはいえ……女子部員の寄り付かないワケが、めっちゃくちゃ、理解できたわよ。

“オタク”てゆーか……ぶっちゃけ“オヤジーず”だよね既に。

 特に3年生の先輩連中。

 …唯一、部長の吉原先輩だけは、まだマトモな方だけど。

 ――ハジけてるの……! 妙な方向にハジけ過ぎてるのよ皆……!!


「うっ……!!」

 ドアを開けるなり、途端に押し寄せてきた白いケムリと刺激臭。

「―――だぁかぁらぁああああっ……!!」

 血管、浮いてくるどころじゃない既に。

 もう切れる、あとヒトイキで。
< 42 / 237 >

この作品をシェア

pagetop