Anniversary
「うるさいうるさいうーるーさーいーーッッ! ミカコに助けを求めるなんて100年早いのよっ!! ―――よし、やるのだミカコ!!」
「ラジャ~♪」
そして彼女が取り出したもの。
それは、“汗の臭い取り”用の消臭デオドラントスプレー。
再び部室中に広がってゆく……今度は、むせかえるようなセッケンの香。
「うがあああああっっ………!!!」
そうして、ようやく3年生のオヤジーず3人が机に突っ伏して撃沈したところで……私もミカコも、スプレーから手を放した。
「ぅお…オレらはゴキブリかい……!」
「高校生の分際でタバコ吸う人間なんて、それ以下です!!」
「…………!!」
そんな呻きを洩らす彼らに残った気力の最後の最後までを叩きつぶしてから……そしで、誰も反論できなくなったのをいいことに、もう毎度毎度繰り返し続けてるセリフを私は怒鳴り散らす。まるで八つ当たりの如くに。
「てゆーか先輩方、タバコなんて吸ってることがガッコにバレたら退学だって、解ってるんですかそこらへん!? 《天文部》だって、…ただでさえ今ヒト少なくて“同好会”扱いになってるってーのに、今度こそ廃部になっちゃうじゃないですか!! あのインケン中年クサレ教師がトコロ構わずスパスパ吸いやがってるからニオイ残っててわからないとでも思ってるんでしょうけど、そんな考え甘いですからね!! つーか、そもそも何でせっかくヤツが居ない時にまでワザワザ吸うんですかっっ!! 信じらんないっっ!!」
「―――ほおぉ? 仮にも“先生”に対して随分な言い草だなキサマ……?」
そこで聞こえてきた、――地の底を這うように低い…そんでもってシベリアの永久凍土よりも固く冷たい氷のような、声………。