Anniversary
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「―――つーか、何なのよコレは……!!」
そして毎年GW恒例とやらの観測会当日。
会場である本校舎屋上を見渡してみて、私は思わず目を疑った。
新入部員という下っぱであるが故に、屋上へ通じる階段の踊り場で地味に“受付係”をミカコと一緒にやっていた隙に……そこは大勢の生徒で埋まっていた。
イヤ、受付をしていたのだから、そんなことは充分に理解していたつもりだ。
わりと多くの生徒が参加するものだなーと、少々驚いていたのだが……てゆーか、参加者に何でこんなに女子が多いんだろうなあ…? とも、思っていたのだが……。
「ねえ、三樹本くーん! この望遠鏡、何も見えないんだけどー?」
「三樹本くぅーん、コッチもお願ーい!」
「三樹本くん、ちょっと解説してくれないかなあ?」
(だから……!! どーしてそんなに、みっきー先輩が引っ張りだこになっているワケなのよ……!!)
女子生徒たち――どー見ても2、3年生のお姉さま方――に取り囲まれている先輩を見つめ、ボーゼンと入り口に立ち尽くしている私の肩に、そこでポンと、手が置かれる。
「気~になる~? 桃花チャ~ン?」
振り返るまでも無く……背後に立って、それぞれにポンポンと私の頭やら肩やらを叩いて下さっているのは、オヤジーず3人組である坂本・葛城・田所先輩。
「――気になりますよッッ!! 当然でしょ!? 決まってるじゃない!!」
ドコの世界に、自分のカレシを他のオンナノコに取り囲ませたまま平常心でいられるオンナノコがいるってゆーの!!
「取り返してくるッッ……!!」
先輩方のそのニヤニヤとした言い草にまでも腹が立って、そのテンションのまま、みっきー先輩を奪い返しに行こうと息巻いて歩き出した私、だったのだが……、
「「「―――ちょーっと待て!!」」」
すかさず、見事なホドにユニゾンを披露してくれた3人の手に掴まれ、引き戻される。