Anniversary
「ちょっと…! 放してくださいよ!! なんで先輩たちが止めるんですか!?」
「いいか、――よーく聞けよ小泉」
そこでマジメくさったカオをして3人は……至極神妙な口調で、それを、仰る………。
「今日のあいつは、“客寄せパンダ”だ!」
「………は?」
「つまりな、ウチみたいに部員が少ない部は、こーいう催しモノ関係の集客具合で、今後の部費が左右されるんだ」
「部費のために耐えろ、耐えるんだ、耐えてくれ小泉!」
「ちょっ…『部費』って……!! だから、そんなの別に、みっきー先輩は関係ないっ……!!」
「イヤ、大アリなんだなーこれがまた! アイツ狙いのオンナを集められなかったら、トコトン集客できないし」
「そうそう、ヤツの愛想の良さは、こういう時に使わなかったら持ち腐れだぞ?」
「てゆーか、だから何で先輩なの!? みっきー先輩以上に客寄せできる人間くらい、ほかに、居るでしょうっ!?」
「―――居ると思うか本気で?」
「―――…思いません」
「―――正直者だなオマエもとことん……」
そこで私がグッと言葉に詰まった拍子に……「でも、」と、隣からおっとり、ずっと黙ったままだったミカコが、口を開いた。
「三樹本先輩ホドじゃなくても……やっぱり“客寄せパンダ”をやってらっしゃる人間が、もう1人、いるみたいねえ……?」
「えっ……!?」
(じゃあ、先輩が“客寄せ”する必要、無いっ……!?)
その言葉で嬉々としてミカコを振り返り、彼女の視線の先へと目を向けてみると……そこには、やっぱり女子生徒に囲まれている……、
―――極悪非道なウチの顧問。