Anniversary
「まあ、そう言うなや。先輩らーがあそこまで好き勝手に出来るのって、センセがさり気なくカムフラージュしてくれてる、って部分もあるからやし……ああ見えて、ナニゲに気の付くヒトやからなー碓氷サンは」
苦笑混じりに小声で囁く先輩の低い声も……まるで子守唄のように聴こえてくる。
言ってることが、「幾ら何でもありえなーい!」って叫んでしまいたくなるようなセリフだったとしても……聞き入ってしまって、反応、できないし……。
「―――って、桃花……? どうした……?」
私の、その余りな無反応さを訝しんだのか……そこで先輩が私を覗き込んだような気配を感じた。
それが解っても……既にピッタリと仲良しこよしになっていた私の上下のマブタは、ピクリとも動いてくれない。
「まったく……ヒトの気も知らんと……」
先輩のそんな呟きと深々としたタメ息を聞いたと思ったのを最後に……私の意識は、そこで深い眠りの淵へと、引きずり込まれて、いって……―――。