Anniversary





「―――桃花! いー加減に起きなさいってば! もう朝だよ!」


 そんな声に目を覚ましてみると……私はベッドの中で、ミカコに見下ろされていた。

「あれ……?」

 横になったまま周囲を見渡してみると……そこは保健室であり。

 カーテンが開け放された大きな窓から、さんさんと朝の陽(ひ)の光が差し込んできている。

「あれれー……? いつの間に戻ってきたんだろう私……」

 思わずボヤいた私に向かい、事も無げに、ミカコは言う。

「三樹本先輩が運んできてくれたのよ、ここまで。あとでお礼、言っときなさいね」

「…………」

(――そうだった……私、屋上で寝ちゃったんだった………)

 うわ、やっちゃったよー! と……まだ寝ボケている頭で昨晩のことを徐々に思い出しながら、コッソリ1人で赤面する。

 ――てゆーか、そもそも……何で私ったら、屋上なんかに行ったんだっけ……?

「あ、そうだ…!! そもそもミカコってば、昨夜、一体ドコに行ってたのよ……!?」

 すっごい心配してたのにー…とボヤいた私に、「それはコッチのセリフ」と、彼女は軽くデコピンを返して下さった。

「トイレ行って帰ってきたら、桃花が居ないんだもの。…まあ、どうせ三樹本先輩のトコだろうなーとは、思ってたけど」

「…………」

 おデコを押さえつつ、沈黙するしかない私。

 どうやら、先輩の行った通り、“入れ違い説”が正しかったみたいだ。
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