Anniversary
「あの、………?」
呆気にとられたまま、呆然と2人を見比べつつ、何事か問いかけようとした私だったのだが……それよりも一瞬早く、「そうだ小泉、おまえにも紹介しとかんとな」と、先生の方が先に口を開いた。
「こちら、三樹本(みきもと)慎之介(しんのすけ)くんだ。2学期からおまえの先輩になるからな、シッカリ挨拶しとけー?」
「え……?」
そこで私がキョトンとして彼を振り向いたと同時……彼も、先生の言葉を受け、コチラを振り返る。
途端、バッチリと合わさってしまった視線。
――ドクン、と大きく1つ、心臓が鳴いて……そのままパキッと私は硬直してしまった。
真っ直ぐで…あまりにも綺麗な、彼の瞳。
(吸い込まれそう……)
まさしく“魅入られた”という状態なんだろうな、こういうの……彼を見つめたまま、身動きの1つも出来ない。
しかし、そんな硬直してる私の様子などドコ吹く風、先生は相変わらず軽い口調で言葉を続けて下さる。
「俺のクラスに2学期から編入することになってなあ、今日はその挨拶に来てくれたんだ。天文部にも入部してくれるからな」
そう言うと今度は、振り返って、隣に立つ彼にニコニコと語りかける。
「こいつは1年の小泉(こいずみ)桃花(ももか)だ。やっぱり天文部員。ウルサイだけで無害だから、仲良くしてやってくれ」
「―――『ウルサイ』言うな!」
反射的に憮然とツッコんでしまった私を、おかしそうな表情を浮かべて、再び彼が振り返った。
目が合ってしまい、ドキンと、また私の胸が大きく高鳴る。
焦って、ギクシャクとした動作で不自然にも彼から目を逸らすと、「…てゆーかセンセイ!」と、もって行き場の無い焦りを全部先生に向けてぶつけてみることにして、慌てて口を開く私。