Anniversary

 ―――グガシャッ……!


(え………?)


 そんな限りなく不穏な音が足元で響いたと思ったら……私が、その方向を見やるよりも、一呼吸、早く……、


「う…、――うああああああこここ小泉オマエ、ななななにやった今ーーーっっ……!!?」


 今度は向こうから柳井先生の狼狽したような野太い大絶叫が、耳を貫くかのように、響いてきて……、


「――あっちゃあ……コレはイッたなあ……」


 目の前で、イヤに冷静な声で、私の足元を見ながら、そう、彼が、呟き……、


 そうして、つられたように自分の足元を恐る恐る見やった私の視界に映ったものは……天文部に1台しか無い、先刻まで自分が抱えていた天体望遠鏡のなれの果て、だったワケ、で、あり………。
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