Anniversary
先輩の言うとおり……あの後、常日頃から口ウルサイくらいに天体望遠鏡に対する取り扱いを厳重注意し続けていた、一見ゴッツい熊のよーに大柄でいかにも大雑把な性格してそうな外見してるクセに実はやかましいくらい神経質だった柳井先生から、「だーから常日頃から言ってるだろうオマエは何でそう落ち着きが無いんだ」から始まってあーだこーだと、しこたま長々しいお説教を喰らうハメとなり。
おまけに、おシャカになってしまったのは1台しか無い天体望遠鏡、せっかく暑い中、わらわらと夕刻になると共に部員たちが集まってきたというのに、カンジンな観測会も出来なくなったよーな事態に陥り、そのせいで人数は少ないながらも全員のブーイングまで一身に受けることとなり……。
――それ以来、当分の間、私には『天文部の破壊魔』という不名誉な肩書きが付いて回ることとなった。
おかげで何かとゆーと、コトあるごとに『クラッシャー小泉』と呼ばれ、
モノが壊れればいわれも無く私のせいにされ、
親切心から何か運ぼうとすれば「やめてー!!」と血相変えて懇願され、
結局なにも手伝えない役立たずと言われ、
その挙句(あげく)に事務雑用ばかり押し付けられ、
…と、数え上げればキリが無い。
たった1度の失敗でもって私は、卒業するまで、そんな全くもって有り難くも何とも無い事態を被(こうむ)るハメとなったのだった。