Anniversary



「あ、私、じゃあ、迎えに行ってくる……!」

 そう言って、私が踵(きびす)を返しかけた、――その時。

 軋んだ音を立てて、屋上の扉が開いた。

 そこに立っていたのはミカコ。

 …と私の天敵。性格最悪の天文部顧問・碓氷(うすい)恭平(きょうへい)。

「お? ウワサをすれば」

「ようやっと芋が到着かー」

「遅いよ、ミカコー!!」

「ごめんごめんー」

 小走りに近寄ってきたミカコの手の中には、―――白い箱……?

「あれ…? ミカコの担当って、確か、“芋”って……」

 だって、どう見てもその箱は、里芋の入っているような箱じゃない。

 どう見たって、ケーキとか入っていそうな……。

「うん、“芋担当”って言われたから……」

 言ってカパッと彼女は箱を開ける。

 ――その中に入っていた“芋”は……、


「スイートポテト、作ってきたの」


「…………」


(―――ミカコちゃん……それ、芋は芋だけど……芋ちがい………)


「ナマのまま持ってくるより、こっちの方がいいかなって。――だって、この分担って、宴会の料理の持ち寄りでしょ?」


 ニコニコとそれを言うミカコが……何だか、やっぱり、イチバンのツワモノだった………。
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