Anniversary





 ちなみに、超絶根性悪な顧問・碓氷センセ担当の“お供え物”は、

 ―――案の定、“酒”。

 お供え用として用意してきたらしいワンカップとは別に、チャッカリ自分“だけ”が飲む分として、別に缶ビールを用意してきていた。


「くっそー!! 恭平ちゃんを“酒担当”にしたところで、教師公認で酒宴が出来ると踏んでいたのに……!!」


 生徒用にと用意してくれたらしいポカリスエットを飲みながら、そう悔しがる3バカ――もとい、坂本・葛城・田所先輩に向かって、

「阿呆!」のヒトコトを、至極アッサリと返す、碓氷センセイ。


「どこの世界に生徒の飲酒を…あろうことか学校内で堂々と公認する教師がいるかっつーんだバカモノ!」


 ―――今回ばかりは、この最低教師の意見に賛同いたしましたわよ私は……!!


 たまにはこのヒトも教師らしいこと言うのねー…と、感心しかけたのも束の間。

「酒が飲みたいなら、学校の外で幾らでも飲め! わざわざ俺の目の前で飲むんじゃねーよ!」

「…………」

 続いたその言葉に、思わず絶句。

(つまり……? よーするに、ただ単に、――責任、かぶりたくないだけね……?)

「―――最低ー……」

 ボソッと呟いた私の言葉を聞き止めて、くるりとセンセが、こちらを振り向く。

「…ほおぅ? 何か俺に言いたいことでもあるようだなあ、小泉桃花?」

 そのまま、相変わらず手放さないで吸っていた煙草の煙を、これみよがしに、フーッと、長々しく、私に向かって、吐きかけ、て、くださ、り……―――、


「…………ッッ!!!?」


 ―――こうして……相変わらずの壮絶舌戦バトルが繰り広げられることとなったのは……もはや、言うまでもなかった………。








-『片月見の約束』 fin.-
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