小さな約束
光流はゆっくりと振り向いた。
「光流!!今までありがとな!!」
大声で叫ぶ俺に、何事かと周りの人は振り返った。
でも今はそんなことなど気にならなかった。
俺は光流にもらった御守りをギュっと握りしめ、息を大きく吸い込む。
「光流!!俺もお前のことが好きだ!!」
「えっ」
光流の顔が一気に赤くなる。
これが俺の気持ちだ。
さっき出した答えだ。
そして俺は叫ぶ。
「光流!!俺の病気が治ったら迎えにいくから!!
だからその時は…結婚してください!!!」
俺は顔が熱くなるのを感じながらも言い切った。
光流の周りにいる人達まで顔を赤く染めているのは、なんだか滑稽に見えた。
俺の中になぜか後悔はなかった。
むしろすがすがしい気分だ。
俺は光流に背を向け、病室に戻ろうと一歩踏み出した。
「竜太!!約束だからね!!
絶対に迎えに来てね!!
約束だよ!!」
そう言う光流の声は震えていて。
俺は恥ずかしさやらなんやらで、振り向くことはできず、少しかっこつけて手を上げた。
この約束を絶対に守り通すことを誓いながら…。