小さな約束
一気に階段をかけあがる。
階段を一歩上がるたび、歓声と熱気が近づいてくる。
俺はドキドキしながら大きな重い扉を開けた。
キャアアアアア!!
大きな歓声とむっとする熱気にけおされながら俺は観客席の一番前に立った。
そしてそこで頑張っているはずのあいつを探す。
「…いた」
光流は真っ赤なユニフォームを着て、体育館の真ん中を走っていた。
光流は背が伸びていたが、周りの選手に比べると小さかった。
「頑張ってるなぁ…」
すばやく相手のパスを奪い取ると、誰にも追いつけない速さで走り、ランニングシュートをきめた。
ワャアアアアア!!
歓声で体育館が震える。
こんな感覚初めてだ。
俺は隣に立っていたおじさんに話を聞いた。
「今、試合どうなってるんですか??」
「今ねぇ決勝戦なんだよ!!それでねぇ…」
おじさんは興奮して、たくさんのことを教えてくれた。
今の得点は
68-70
光流のチームは2点差で負けているそうだ。
「鈴宮がきめてくれたらいいんだけどねぇ…」
「え!?光流ですか!?」
「知ってるのかい??
彼女、エースだよ」
それを聞いて、俺は嬉しくなった。
光流やっぱり頑張ってんだ…。
「ああっ!!残り10秒をきったぞ!!早くシュートをきめろお!!」
おじさんがいきなり叫んだ。
10
9
8…
大きな電光掲示板が、笛を鳴らす時までのカウントダウンを始める。
バスケをあまり知らない俺でも、この状況は理解できた。
あと数秒でシュートをきめなければ、光流は負ける。
でもあと数秒でシュートを入れられるのか??
そう俺が疑問を持った瞬間、光流が動いた。