小さな約束
「お姉さんもかわいいけど、やっぱりあたしの方がかわいいね」
「あ゛?」
葉奈の顔が一瞬にして鬼の顔に変わった。
「ん〜ごめんね〜。お姉ちゃんちょっと聞き取れなかったぁ〜。
もう一回言ってくれる??」
言ってる言葉は優しいが、顔はものすごく恐ろしかった。
まじで怖い。
芽依も恐怖を感じたようだ。
廊下に向かって逃げ出した。
葉奈が立ち上がる。
「お゛いゴラ!待てぃ!!」
その声はいつもより数倍低かった。
芽依は病室のドアの前で立ち止まり、舌を出しながら言った。
「バーカ!あたしの方がかわいいもんね〜!」
「芽依っ!!」
光流に怒鳴られた芽依は一目散に逃げ出した。
光流はその後を追って走り出した。
騒がしい二人が去った病室はしーんと静まり返った。
黒いオーラを出している葉奈は恐ろしく、
のんきに寝ている健一がとてもうらやましく感じられた。