小さな約束
「何やってんだ?お前」
病室の中では、光流がバイオリンを弾いていた。
「あ!竜ちゃん。お疲れ」
葉奈が俺に気づき、明るく声をかける。
「あぁ」
光流も俺に気づき、バイオリンを演奏していた手を止めた。
「お前…バイオリン弾けるのか??」
バスケバカなのに…と、心の中でつけたす。
「もちろん!竜太も聞いてよ。じゃあ続きからね」
〜♪〜♪♪〜♪♪〜
病室にきれいな音色が響きわたる。
光流はお世辞ではなく本当にうまかった。
俺は感心しながら健一の隣に座った。
健一に小さな声で聞いた。
「こいつ、バスケだけでなく、バイオリンもできるのか??」
「あぁ。なんかいろんな賞取ってるらしいぜ」
「そんなにすごいのか!?」
「あぁ、表現力豊かだな」
「そうなのか…」
俺にはよくわからないが、ピアノ教室の講師の母親を持つ健一にはこのすごさがわかるのだろう。
「ほら!二人ともちゃんと聞いてよ!」
葉奈に怒られてしまった。
「ごめん」