小さな約束
白血病は竜太に会う前から知っていた。
おじさんが白血病だったからだ。
おじさんはすごく仕事熱心で、倒れた時にはもう手遅れだった。
でもおじさんはずっと笑顔だった。
病気が進行し、寒い寒いと言いながらも笑いながら『大丈夫、俺は治る』と言っていた。
おじさんが死んだ時、悲しみもあったが、正直ガッカリした。
なんだ、人はこんなに弱いのかと。
今思うとバカだったなと思うが、あたしは白血病をなめてた。
白血病は笑ってられる病気だと。
だから竜太を見て驚いた。
なんで笑わないのか不思議に思った。
話を聞くうちに白血病のつらさとおじさんのすごさがわかった。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがと」
お母さんに渡されたお茶を一口飲んだ。
「ねぇ光流、芽依はきっと悪気があったわけじゃないのよ。光流もいろいろあって言いすぎちゃったのでしょ?
芽依のこと許してあげて」
「………」
反応しないあたしに呆れ、お母さんは何かを取り出した。