小さな約束
「…………」
「…………」
俺達はお互い何も言わず星を見上げ、無言の時間が続いた。
たくさんの星が出ていて、とてもきれいだった。
何かいつもと 違う重い空気が流れていた。
その沈黙は光流が破った。
「ねぇ知ってる??バスケのシュートって入る時、網に当たるシュッって音しか聞こえなかったら、その人は上手ってことなんだよ」
「そうなのか?」
「そうだよ。あたしもそうなるまで必死に練習したよ」
そう言って光流は包帯で巻かれた右手を空に向けた。
まるで遠い遠い星をつかむように。
「あたしさ、今ではスリーポイントの鈴宮って言われるほどシュートうまいけど、最初はすごくすごくへただったんだ」
「あぁ」
「どうしても上手くなりたくて、必死に…必死に練習した。
練習が終わった後も一人で何百本もフリースローの練習してた。
それでやっとここまでたどり着いたのに…」
光流はスゥッっと息を吸った。
「あたしの腕ね…
結構ひどい状態で、リハビリしても治るのに半年かかるんだって」
「あぁ」
「あと半年は絶対にバスケできないんだって」
「あぁ…」