小さな約束
「悔しい…悔しいよ…。
あたしがここでぐずぐずしてる間にも、みんなはどんどん上手くなっていく。
それであたしが復帰した時にはあたしは一人、取り残されてる。
きっとシュートもろくに入らなくなってる。
そんな自分を見るのがいやなんだ…」
「また練習すればいいじゃないか」
「…そんな簡単に言わないでよ!
あたしがここまで来るのにどんだけ苦労したと思ってんのよ!
現に芽依だってそうじゃん!
あたしがいなくても大丈夫って言ったじゃん!!」
「それは…!」
「あたしもう、どうしていいかわかんない…」
ふと光流の顔を見ると、静かに涙を流していた。
「光流…」
どんなに強い人にも弱い一面を持っているんだと思った。
そして俺は泣いている光流を抱きしめたいと思った。
なぜそう思ったのかわからなかったが、俺は光流に手をのばした。
でも光流に触れる直前、手をおろした。
静かに見守ることにしたんだ。
実を言うとただ単に臆病者だっただけなのだが。
俺は空を見上げた。
お月様がいじわるそうに俺達を見ていた。