小さな約束
それからはあっという間だった。
看護士達に連れて行かれる健一を呆然と見送った。
そして医者は服の裾をつかむ俺の手をゆっくり離し、
「大丈夫だよ。健一くんはきっと助ける」
と言い、走って行ってしまった。
病室に取り残された俺達は健一の無事を祈ることしかできなかった。
あれから1時間は経ったと思う。
健一はずっと手術室に入ったままで、俺達は病室で健一が戻ってくるのを待っていた。
本当は今すぐにでも駆けつけてやりたかったが、看護士に怒られ、病室に残ることとなった。
「健ちゃん…健ちゃん…」
葉奈はずっと不安定な状態が続いていた。
隣のベットから光流が葉奈を励ます声が聞こえてくる。
俺はその声を聞くのがつらくて、頭から布団をかぶった。