小さな約束
「健一くんはたった今…
亡くなったの」
「え……??」
嘘だろ??
今…なんて…??
「健一くんは天国へ行きました…」
嘘だ…嘘だ…。
信じられなかったが、看護士の悲痛な表情が全てを物語っていた。
「嘘…嘘だ…」
「本当よ、竜太くん」
「嘘だ…だってさっきまであんなに笑って…」
俺の声を遮ったのは葉奈の叫び声だった。
「イヤァァァァァ!!」
葉奈は大粒の涙を流し、泣きわめいた。
「アァァァァ!!」
光流は目を見開いたまま呆然と立っていた。
静かな病室には葉奈の叫び声が響きわたり、
病室の外では、何事もなかったような静かな朝が始まろうとしていた。