小さな約束


「健一くんはたった今…


亡くなったの」




「え……??」




嘘だろ??


今…なんて…??




「健一くんは天国へ行きました…」




嘘だ…嘘だ…。


信じられなかったが、看護士の悲痛な表情が全てを物語っていた。




「嘘…嘘だ…」




「本当よ、竜太くん」




「嘘だ…だってさっきまであんなに笑って…」




俺の声を遮ったのは葉奈の叫び声だった。




「イヤァァァァァ!!」




葉奈は大粒の涙を流し、泣きわめいた。




「アァァァァ!!」




光流は目を見開いたまま呆然と立っていた。




静かな病室には葉奈の叫び声が響きわたり、


病室の外では、何事もなかったような静かな朝が始まろうとしていた。
< 68 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop