小さな約束
「それでねっあたしが転んだ時、優しく手を…ってごめんっあたしばかりしゃべって…」
気づけばあたしは健ちゃんとの思い出を一から十まで全て話していた。
泉くんは哀れそうな目であたしを見つめていた。
「泉くん…?」
「あっあぁ。へぇ健一っていいやつなんだな」
「そうだよ〜あたしが紳士的でさぁ」
はぁ〜
あたしが笑顔で話し始めると、泉は大きくため息をついた。
「お前さ、わかってる??
健一ってやつはもう死んでるんだぜ??
もういないやつの話ばかりして楽しいか??
そんなんじゃ天国にいる健一ってやつもかわいそうだ」
「え??」
かわいそう…??
健ちゃんが??
「なんで…??きっと健ちゃんも寂しいはずだよ…。
それにあたしの頭の中は健ちゃんでいっぱいなんだよ…。今も、昔も…」
「ふーん…そうか…」
泉くんは寂しそうに目を細めてうなずいた。